開業まで金融知識ゼロだったフリーライターが、FP事務所を開設した理由

フリーライターがFP事務所を開設した理由

こんにちは。フリーライター・編集者の齊藤颯人(@tojin_0115)です。

このたび、私は新たな事業として、ファイナンシャル・プランナーとしての独立を決意しました。あわせて、FP事務所「トージンFP事務所」を設立し、代表に就任しました。

しかし、以前から私のことをご存じの方は「なぜ、このタイミングでファイナンシャル・プランナーになったのか」と思われるかもしれません。そこで、本記事では自己紹介も兼ねて「開業まで金融知識ゼロだったフリーライターが、FPとして独立した理由」を説明していきます。

お金の悩みは想像以上に深刻化している

終身雇用の崩壊や、新しい働き方の普及により、マネーリテラシーの必要性が叫ばれていることは皆さんもよくご存じでしょう。

私もそれは知っていたのですが、フリーランス・副業メディア『Workship MAGAZINE』の編集部でマネー関係の記事を制作するなかで、想像以上にお金の悩みが深刻化している現状に気づきました。

お金のこと、お金周りの法律のことにサラリーマンよりも詳しくなければならないフリーランスでも、全員が十分なマネーリテラシーを備えているとはとても言えません。

「確定申告のことがよくわからない」「資産運用に自信がない」といったお悩みはまだいいほうで、「(必要なのに)確定申告をしたことがない」「そもそも資産運用について考えたことがない」など、私の想像を超える現状がありました。

しかし、これはフリーランスや副業ワーカーの皆さんが悪いわけではありません。

ファイナンシャル・プランナーや士業の方が発信する機会も増えてきましたが、正直に言って分かりづらかったり、初心者の方が本当に気になるポイントからズレていたりと、初心者向け金融コンテンツは量こそ十分でも質が追いついていないと感じます。

さらに言えば、本来はお金の知識を義務教育で学んでいてもおかしくないはず。お金に疎くなっていく原因は、さまざまなところにあります。

そんな現状を見て、新卒フリーライターとしてほぼゼロからマネーリテラシーを身に着け、フリーランスなどの皆さんにマネー情報を発信し、FP資格も取得した自分の経験と技術が活かせるのではないかと思い、FP事務所を開設するに至りました。

私の「マネー半生」

直接的なFP事務所の開設動機は上記の通りです。しかし、いま思えば、私は自分の半生で多くの「お金の悩み・気づき」を得ており、それがFP事務所開設に間接的な影響を与えていたように感じます。

そこで、ここからは私という人間をより深く知っていただく意味も含め、私の人生でお金について深く印象に残っている出来事をご紹介します。

1. 貧困家庭で覚えた「違和感」

私の母は、私がまだ記憶も定かではない時期に父が家を出たため、シングルマザーとして家庭を切り盛りしていました。学があるわけでも、特異な才能があるわけでもない母は、いま考えても大した稼ぎがなかったでしょう。当然、家計は楽ではなく、いわゆる「貧困家庭」で育ちました。

しかし、私が泥水をすするような絶望的な生活をしたかというと、そうではありません。我が家では、毎日のように「お金がない」「お金がない」と言われていましたが、それほど質素倹約しているようには見えなかったのです。

貧困家庭の真の問題は、お金がないのに財テクができない、散財してしまう点にあるのではないかと感じました。

そして、母はよく「お金がないから幸せになれない」と言っていたような気がします。ただ、子どもながらにこの言葉には違和感を覚えました。

なぜなら、なんとなくお金を稼いで、なんとなく消費しているようにしか見えなかったからです。限られた収入のなかで工夫し、最大限に人生を楽しもうとしているようには見えませんでした。

そこで私は思いました。「たとえこの人が裕福だったとしても、本当に幸せになれたのだろうか」。もちろん収入の大小も大切ですが、限られた収入のなかで生活を好転させる工夫も欠かせない、と感じるようになりました。

2. 良い大学に入学するためには、まず資金が必要

高校時代、私は受験生として勉強に励んでいました。さて、皆さんは「良い大学に入学するために必要なもの」はなんだと思いますか? おそらく、多くの方が「学力」を思い浮かべたことでしょう。実際、学生時代の私もそう思っていました。

しかし、受験も佳境に差し掛かっていた9月ごろ。私は衝撃的な事実を知ります。なんと、私に受験資金を援助してくれるはずの相手が、トラブルを起こしてそれどころではなくなってしまったのです。

言うまでもないことですが、良い大学に入学するにはまず100万円近い入学金を納めなければなりません。各種奨学金などもありますが、当時は「大学入学後」の費用を援助してくれても、「大学入学前」の費用は援助してくれませんでした。

諸事情により教育ローンも使えず、一時は完全に大学入学の道が断たれてしまいました。そう、良い大学に入学するために必要なものは、学力ではなくまとまったお金だったのです。

もっとも、母が役場でしっかり相談してくれたので、地域の社会福祉協議会が提供している「教育福祉資金」を利用できることが判明。なんとか資金を調達して大学には入れましたが、「お金」と「マネーリテラシー」の重要性を痛感させられました。

3. 奨学金は自分で情報を集めなければならない

大学入学後、私は奨学金を頼みに学費などを払っていました。幸い、高校時代の成績が悪くなかったこともあり、借り入れの大半は無利子の第1種奨学金。とりあえず必要な分を借り、大学卒業までの学費は問題なくなりました。

しかし、私の大学には貧困家庭向けの給付型・学費減免型奨学金制度があることに、入学後しばらく経って気づきました。成績や世帯収入的に利用できるものは多かったのですが、私は制度に気づくのが遅れ、大学生活の後半になってからしか受給できなかった奨学金もありました。

もちろん、遅れたとはいえ自分で奨学金情報にリーチし、給付を受けられたのは幸いでした。しかし、入学前、あるいは入学直後にもっと奨学金に関するアンテナを張っていれば、実質的な返済金額がもっと減ったかもしれない、と思わずにはいられません。

お金に関する制度を自ら調べ、アクセスすることもマネーリテラシーなのだと痛感しました。

4. 学びを活かし、支援金情報発信の価値を実感

大学在学中に学生ライターとして独立し、そのまま新卒フリーライターとなった私ですが、独立2年目の2020年に新型コロナウイルスが発生。

当時は知識ゼロからの確定申告などを「体当たり」でなんとかこなしていましたが、自分ではどうにもならない課題に直面します。当時は旅行ライターとしての業務をメインに活動しており、外出自粛要請によりほぼすべての取材がパーに。いきなり収入が激減してしまいました。

そんなとき、報道などでも盛んに言及されていた「持続化給付金」の存在を知ります。学生時代の経験から「お金関連の情報は能動的に集めないと損をする」と学んでいたので、自分で情報を取りに行きました。

初回の給付金で政府側の体制も整っていない状況でしたが、下調べの甲斐もありしっかりと給付金を受給することに成功。以後、収入が回復するまでの大きな助けになってくれました。

一方、たしかに私は大きなトラブルなく給付金を受給できましたが、SNSなどを見ていると「ぜんぜん受給できない」「申請方法が難しすぎてよくわからない」という声を多く耳にしました。

2020年の後半からフリーランス・副業メディアの編集者になっていたので、持続化給付金の後に創設された「月次支援金」などについては、経験談をベースに制度の概要から給付までの流れを記事化

最初は何気なく制作した記事の1つだったのですが、PVなどが大変好調で、多くの人から感謝のお言葉もいただきました。フリーランスとしてお金で苦労した自分の経験が読者に求められていることに気づき、マネー関係の記事を本格的に書くようになりました。

同時に、読者により分かりやすく、より求められている情報を正確に伝えるべく、金融関係の勉強を本格化。その流れでFP資格を取得し、現在に至ります。

金融初心者の気持ちを忘れず、皆様をサポートします

ここまで記事をお読みいただき、誠にありがとうございました。なぜ私がFPになったか、皆さんにもご理解いただけたかと思います。

大半のFPと違い、私は銀行や証券、保険会社の出身ではありません。その意味で、金融知識に不安を抱かれる方もいるかもしれません。

しかし、私は特定の組織に所属することなく、常に「読者に求められている」「最新の金融知識」「分かりやすく」発信することに力を入れてきました。そのなかには私自身がフリーランスとして体当たりで学んだ知識も含まれており、生きた情報を皆さんに届けられる点が強みだと考えています。

たとえば、「確定拠出年金は節税になるのでおすすめです」と教科書的な回答を行うのではなく、「なぜその方が確定拠出年金を始めないのか(ex. 知らなかった、よく分からない、めんどくさい)」を分析し、お客様や読者の価値観も踏まえ、本当に確定拠出年金を利用すべきかをアドバイスします。

個人・法人問わず、お金に関するお悩みをお抱えの方はぜひご相談ください。

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